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高森明勅
2017.3.4 23:37

天皇陛下の「問いかけ」

昨年7月13日夜、NHKは、天皇陛下が「生前退位」
ご意向を示されている、との驚きのニュースをスクープした。

そのニュースが流れた直後、『月刊Hanada』

花田紀凱編集長から原稿依頼があった。

前にもブログに書いたように、締め切りは16日。

突然の大ニュースに突然の執筆依頼。

何の準備もなく、既に入っていたスケジュールの
合間を縫って書き上げたのが、
7月26日発売の
同誌9月号に掲載された「陛下の『ご譲位』
をどう受け止めるべきか」
(私が付けた題名は、確か「『
生前退位』既に聖断は下った」)。

勿論、8月8日に天皇陛下のお言葉がビデオメッセージとして
放送される
、ずっと前だ。

この文章の末尾を、私は以下のように締め括った。

些か長い引用になるのをご容赦戴きたい。

「このたび、陛下の生前退位のご意向が明らかになり、
多くの国民が驚いた。
しかし、陛下はそこまで真剣に『天皇』という途轍もなく
重いお立場を背負い続け、
その尊厳を傷つけまいと必死の
ご努力を続けてこられたのだ。
その年齢的、身体的な極点が見え始めた時、
皇位の神聖さを守り抜くために、その輝きをわずかでも
衰えさせないために、静かに譲位をお考え
になったのではないか。
改めて振り返ってみると、私ども国民は、
これまで天皇陛下はじめ
皇室の方々の沈黙のご努力とご忍耐に、
一方的に甘えっぱなし
だったのではあるまいか。
皇室の方々がだらしない国民に愛想を尽かされる
可能性があるなど
と、ツメの先ほども思い浮かべたことはないだろう。

自分のかけがえのない人生をこんな国民のために犠牲にしたくない
と陛下がお考えになるかもしれないなどと、
想像したこともないはずだ。

陛下はいま、私どもに穏やかに問いかけておられるのではないか。

あらゆる自由を制限されながら、
ひたすら国民のために尽くしてこられた陛下が望んでおられる、
天皇』の輝きを守るために自ら潔く退かれるという
“唯一”
の自由を、恭(うやうや)しく受け入れるのか、どうか」と。

この陛下のお問いかけに、平成の国民はどうお答えするのか。

その回答の時期は、もう目の前に迫った。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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